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映画『イノセンツ』北欧サイキックスリラー/扱いきれない感情とパワーを持った暴走する子どもたち

みうのしん
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みうのしん
みうのしん

ひとつだけ能力が持てるとしたら。
冷たいモノを熱くする能力が欲しいみうのしんです。
瞬時にお茶をあっためたい。

そんなことはさておき、
夏といえばゾッと肝を冷やしたくなる季節
なにかないかしらと探していたら
街を歩いていたらこんなキャッチコピーの映画が。

「退屈な夏休み。無垢な子どもたちの“遊び”が、狂気に変わる。」

なにやら不穏な空気。
それに、夏休み映画。
いいではないですか!

7月28日に日本全国で
公開されているこちらの映画。

早速みてきたので
ネタバレなしでレビューしていきます。

7月28日公開の北欧映画『イノセンツ』

「イノセンツ」こどもたちイラスト

あらすじ

退屈な夏休みに不思議な力に目覚めた子どもたちの遊びが、次第に狂気へと変わっていく姿を、美しくも不気味に描いたノルウェー製のサイキックスリラー。

ノルウェー郊外の住宅団地。夏休みに友人同士になった4人の子どもたちが、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。子どもたちは近所の庭や遊び場で新しい力を試すが、やがてその無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こりはじめる。

正直に言うと
ものすごくおすすめしたい気持ちと
安易にすすめられない…という
正反対の気持ち。

なぜなら
起こってほしくないことや
見たくないことが
どんどん起こるからです。

ひ〜!と
ゾッとなりながら
どうなるんだこれは…!と
固唾を飲みまくりましたよ。

心当たりのあるこのきもち

小さい頃の記憶を辿ると
「なんでこんなことしちゃったんだろう。」
という経験は誰もが持っていると思います。

大人になって振り返ると
そう思えるそんな行動が、
この映画で
私たちの肝を冷やします。

例えば
妹が自分より可愛がられている気がして
意地悪しちゃったり
友達にからかわれて
ムッとして怒ってしまったり。

そして
だいたいその後、
親に怒られて反省したり
友達とお互いやり過ぎたと言い合い
仲直りします。

わたしは
昔、好奇心でナメクジに塩をかけ、
全滅させたことがあって。
(しかも10センチ以上の巨大ナメクジを10匹くらい…。)
塩をかけている時は、
本当に縮むんだということが面白くて
夢中でかけていました。
そして、全て消えてしまったあと、気付いたのです。
わたしが、ナメクジを死なせてしまったと。
その時のショックなこころは
今でも思い出せるほどです。(ナメクジごめん…)

程度の差はあれど
誰もが覚えがあるであろうこの経験とこの気持ち。
友達を傷つけ、喧嘩をして、仲直りをする。
生き物に酷いことをして生と死を理解する。
そうやって大人になっていくんだ。

だから、本作でもタイトルの通り
イノセンスな子どもだからやってしまう
容赦ない行
動は
誰もが通る道なのです。

ナメクジに塩をかける

大人が不在の子どもの世界

ただ、鑑賞した方はわかると思いますが
とある子どもの”もうやめてくれ!”と思うほど
容赦ない残酷な行動が
どんどんどんどん最悪な事態へと発展していきます。
(どれくらい容赦ないかというと、ノルウェーでは、途中退席する方や気を失ってしまった人もいたようです。*1)

その背景として、
そもそも大人が子どもを十分に見守れていない状況も描かれています。

自閉症の姉アナと
遊ぶように任される妹のイーダや、
不安定な精神状態の母親と二人暮らしのアイシャ
ほぼネグレクト状態のベン
アナも言葉を話すことができないため、
意思疎通を家族ととることが難しい。

本来は、
いいことも悪いことも受けとめ、
時にはしかり、時には見守り、
なにかあれば
助けてくれる存在が
子どもたちには必要なのに、
その大人がいないところで
あやういことが起こります。

「イノセンツ」森イラスト

誰もが通る
複雑で処理しきれない不安定な感情と
それに伴う行動。
そこに
不思議な能力が一緒になったら
起きることも起きてしまいます。

どんどんどんどん
取り返しのつかない状態。
しかも、子どもだけで
なんとかしないといけない
迫る危機。
それだけは…!と
思うことが全部起こります。
ひ〜!

あえて
大袈裟に言いますけど
覚悟を持って見てください。

静かにじわじわ迫りくる恐怖と
美しく描かれる繊細な世界。
アメリカ映画にはない
北欧映画らしさも見どころ。

アナが感じているであろう、
音や光かりの美しい世界。
それとは正反対の不気味で
静かなサイキックバトルは
より美しい世界を引き立てます。

ぜひ映画館で体感してほしいです!

予告映像はこちら。

information

『イノセンツ』

公式HP:longride.jp/innocents/

2021年製作/117分/PG12/ノルウェー・デンマーク・フィンランド・スウェーデン合作
原題:De uskyldige
監督:エスキル・フォクト

配信:U-NEXT / Amazon prime / Apple TV / Hulu 他(2024.03.24時点)

*1 Eskil Vogt THE INNOCENTS interview (2021)

みうのしん
みうのしん
関西在住 / フリーランス
みうのしんと申します。ニューシネマ映画研究所同好会部長を勤める(残念ながら廃部)映画はなんでも見るようにしていますが、特にジュブナイルものがお気に入り。登場人物たちがちゃんと暮らしていることがわかるとなお良いです。毎日マイペースに創作物をみています。
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